欲望に翻弄された男

私たちの人生を表した心惹かれる物語があります。
これは、私たちが知らず知らずのうちに、何に命を使っているか、それによってどういう結果になるのかが分かる物語です。
それは、こんな話です。

昔、自然豊かで、ものすごく広い国がありました。
ある日、その国の王様が、農民たちを集めてこう言いました。
「我が国は、度重なる領土拡大によって、広大な土地を手に入れた。
 ついては、その新しい土地をそなたたちの望むだけ分配することとしたい」
これを聞いた農民たちは、突然のことに驚き、とても喜びました。

続けて王様が言います。
「方法は簡単だ。朝出発して、太陽が沈むまでに歩き回っただけの土地を与える。 体力のある者は走ってもよい。
 ただし、太陽が沈むまでに出発地点に戻ることができなければ、 土地は与えないから、よく覚えておきなさい」

この夢のような話に、早速、ある男が
「私にやらせてください」
と願い出ました。
「よかろう、では明日、好きなだけ回ってくるが良い」
王様の許しをえた男は早速翌日、このまたとない機会をうることができました。

翌朝、出発した男は、最初は、
「それほど広い土地も必要ないから、散歩がてら歩いてこよう」
と思っていました。

しかし、時間が経つにつれ、
「こんなチャンスは滅多に無いから、どうせなら、もう少し広い方がいいだろう
と、段々歩くスピードが速くなっていきます。

そして、もうちょっと、もうちょっとと思っているうちに、いつの間にか走っていました。
少しでも広い土地を手に入れたいという欲の心が出てきたのです。

やがて、ふと見ると、 太陽が頭の上まで昇っていることに気づき、慌てて方向を変えました。
お弁当を持ってきていましたが、「もっともっと」と思って、 昼食をとる時間も惜しんで、ひたすら走ります。

疲れも出てきて、少し休憩したいと思いながらも、 その時間が勿体なくて走り続けました。
「もう少しだ、もう少しでこの広い土地がオレのものになるんだ」
そう思って、つらさ苦しさを乗り越えて男は走ります。

そのうちに、太陽が沈みかけていることに気づきました。
「まずい、間に合わなければ、1日の苦労が水の泡だ」
男は出発地点に向かって最後の力を振りしぼって猛然と走ります。
汗びっしょりになり、喉はカラカラ。息も荒く、命懸けで走り続けました。

そして、何とか日の沈む寸前、男は出発地点に到着しました。

「やったー」
と思った次の瞬間、男は地面に倒れ込みます。
そして、そのまま息絶えてしまったのです。

王様は家来に命じて、その男を埋めるための穴を掘らせました。
わずか1メートル四方ほどの穴です。
そして、王様は言いました。
この男に、あんな広い土地はいらなかったのだ。
 たったこれだけの土地があれば、それで良かったものを

この物語は、ある男の1日の出来事ですが、私たちの人生も同じです。

男の1日は私たちの人生

この男のように、私たちは朝から晩まで欲の心に引きづられて生きています。
お金が欲しい、物が欲しい、褒められたい、認められたいという心です。
これが欲しい」と思ったら、努力もしますし、 少しくらい苦しいことは乗り越えられます。

みんなが持っているものを、もっていなければ欲しいと思うのは 当然かもしれませんが、あればあったでもっと欲しいと思います。

これさえ手に入れれば」「今よりたくさんあったら」、そう思って少しでも多く、少しでもたくさん手に入れたい。
そういう欲の心に引きずり回されているうちに、 あっという間に一生が過ぎ去って、死んでしまうのです。

欲の心に引きずり回されて

死ぬときには、それまでどれだけたくさんのお金を手に入れたとしても、 どんなに立派な家や車を手に入れたとしても 何一つ持ってはいけません。

そんなものを死ぬまで求め続けるのが人生だとすれば、 一体何のための人生なのでしょうか。
死ぬまで求めて、手放すだけだとすれば、意味がありません。

意味のある人生

せっかく頑張っても意味がないと言うことは、 求めるものが間違っていたということです。
この物語は、そういうことを教えているのです。

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