反省の深さの3つのレベル
仏教の根幹は因果の道理です。
善因善果
悪因悪果
自因自果
といわれ、あなたの運命のすべては、善いのも悪いのも、自分の行いによって生みだしたのだと教えられています。
このように、自因自果と教えられているという話をすると、
「じゃあ地震や津波などの自然災害はどうなんですか」
とか、
「生まれつきのことはどうなんですか」
という極端な例をあげた質問がよく来ます。
そういうハイレベルなことを理解するにはもっと深く仏教を学んで頂かなければなりませんが、まず、日常的によくあることから考えてみましょう。
ポイントは、「悪果」
つまり何か苦しいことが起きたとき、
自分のたねまき(行い)が反省できるかどうかということです。
経験上、この反省の深さに
レベル1 無反省レベル
レベル2 対症療法レベル
レベル3 原因究明レベル
の3段階があるように思えます。
分かりやすいのが、風邪をひいた場合です。
例1 風邪をひいた場合
風邪をひいたら、だるくなって、節々が痛くなり、鼻水や咳、寒気がして、熱が出てきます。
食欲がなくなって、頭もぼーっとします。
そのために、仕事ができなくなったり、家族にうつして迷惑をかけたり、二次災害も発生します。
さあ人生によくある、こんな苦しいとき、あなたならどんな反省をするでしょうか?
よくあるのが、
「あいつにうつされた~」
とその直前に風邪をひいていた人のせいにします(笑)。
これが、レベル1 無反省レベルです。
何も反省していないので、レベル0という感じもします。
きっとまた風邪ひきますよ。
次に、少し自分を反省すると、
「しまった、風邪をひきそうな予感がした時点で、マスクをしておけばよかった、それと葛根湯も飲んでおけばよかった」
というようなものです。
これはすでに結果が出つつあるアウトっぽいときに何とかしようとしている対症療法レベルです。
もっと遅れると、
「しまった、熱が出てきた、熱さまシートだ、風邪薬だ」
となりますが、これはもはや手遅れです。
しかし、自分の行いを反省しているので、ちょっとは食い止められるときもありそうですよね。
さらに深く反省した場合、自分が風邪を引いてしまったのは、なぜなのか風邪の原因は色々あるみたいなので、結局自分の免疫力が弱いということではないか?
免疫力を高める普段の睡眠時間や食べ物、運動などの生活習慣は……
と原因究明レベルの反省になってきます。
そして種まきを変えることができれば、
「あいつにうつされた~」
というだけの人よりはるかに風邪をひく確率は下がりそうですね。
何か苦しいことが起きたとき、自分の行いがどこまで深く反省できるかどうかが大切です。
例2 ナンパに失敗した場合?
私が昔、ストリートで女の子に声をかけていたとき、携帯番号を教えてもらえると、ちょっと嬉しいのですが、あとで電話をかけてみると、
「現在、この番号は使われておりません……」
という時があります。
これにはがっかりです……。
そんなときどう思うでしょうか。
とりあえず、
「あの女~うそつきやがって~」
と思います。
これは人のせいにしているので、
レベル1、無反省レベルです。
どう考えても不毛ですね。
そこで
「どうしてこんなことになったんだ……」
と自分の行いを反省します。
やがて、
「そうだ、赤外線通信で番号交換をすればいいんだ」
とか
「もっと簡単には、その場で一回試しに着信させてみればいいんだ」
と思います。
これは自分の行いを反省しているので、
レベル2、対症療法レベル
の反省となります。
ところが、これでは反省が浅いので、いくら正しい電話番号が分かっても、次に電話をかけたとき、電話をとってもらえなかったり、着信拒否されてしまいます。
せっかく自分の行いを反省したのに、一体何が悪かったのでしょうか?
実は、携帯番号を聞いた時点では手遅れです。
原因は、その時点で、まだ信頼関係が築けていなかったことなのです。
それまでに、どのように信頼関係を築けるか第一印象はどうか、会話の仕方はどうかと、種まきを変えなければなりません。
相手の立場に立って考えれば、信用できない人に電話番号を教えたくないので、当たり前ですよね。
そこまで原因究明レベルの深い反省ができると、その場で確認するまでもなく、ウソの電話番号はほとんどなくなってきます。
さて、いくらか俗な話になっていたので、気を取り直してもう少し高尚な、仕事の例です。
例3 部下がミスをして損害を出した場合
仕事で、自分以外の人が何か失敗して、自分にも損害が出たとき、特にそれが部下で、同じミスを繰り返しているとき、どう思うでしょうか?
「何だ、こんなことも分からんのか」
「何回言ったら分かるんだ!」
と言いたくなります。
しかしこれだけでは、他人のせいにしているだけで、反省としては無反省レベルなので、同じミスが繰り返されます。
そこで、少し自分を反省すると、そんなミスが起きないような、ルールを決めたり、罰則を増やしたりします。
これは、対症療法レベルなので、ミスは少なくなるかもしれませんが、根本解決はできないように思います。
それほど変わらない場合も多いのではないでしょうか。
そこで、すぐれた経営者によれば、
「部下が次々問題を起こすのは、自分が未成熟だからだ」
と、自分のたねまきを変えるそうです。
そこまで自分の行いで原因究明ができれば、ものすごく立派ですごいすね。
それぞれの深さレベルの割合
人間、他人のことならよく分かるのですが、自分のことは分かりません。
どこまで深く反省できるか、よく分かりませんが雰囲気的には、
レベル1 無反省レベル 90%
レベル2 対症療法レベル 9%
レベル3 原因究明レベル 1%以下
という感じではないでしょうか。
いかに、自分のたねまきを反省することが難しいか知らされます。
いずれにせよ、すべては「自因自果」と信じ、悪い結果が起きたときに、自分の言動をどこまで深く反省できるかが、重要になります。
これを5年も10年も続けたら、人生まったく変わりますよ。
非常に難しいですが、共に実行していきましょう。
今回、さらに仏教に解き明かされた苦悩の根元をスペシャルレポートにまとめましたので、まだご覧になっていない場合は、下の申し込みフォームからお申し込み下さい。